光のもとでⅠ
 そんなふうに話すと、
「……いい、のかな?」
 不安で自信がなくて、といった表情。
「いいんだよ。だって、それは翠葉の心であり想いなんだから」
 人の気持ちなんて複雑に考えようと思えばいくらでも複雑にできる。
 でも、そうしてしまったら見えない糸に雁字搦めにされて身動きが取れなくなる。
 そうなる前にそこから抜け出そう……?
 目の赤い妹にそんな視線を送ると、
「ほら、明日も早いでしょ? 顔洗って薬飲んでとっとと横になる!」
 唯が翠葉を立たせ部屋の外へ追い出した。
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