光のもとでⅠ
 今の自分は見られたくない。そうは思っても、そんなタイミングで俺を見てくるのが彼女だったりする。
 彼女は俺の顔を見てはっとしたようだった。
「どうしよう……」と文字が顔に貼り付いている。なのに、気まずそうに視線を逸らしては、また司を見て目を輝かせるのだから、どうしたらいいものか……。
 その彼女の視線を察知してか、
「……見られすぎると減る」
 と、司は口にした。
 司、それ……今の俺からは嫌みにしか聞こえないわけだけど……。
「司、早くシャワー浴びないと風邪ひくぞ」
 蒼樹が声をかけると、
「そうします。ここにいると、自分がどんどん減りそうなので」
 と、ホールを突っ切った。
 その間も彼女はずっと司を見ていた。司と目が合ったときには、蒼樹のシャツを握る手に力が入ったほど……。
「そんなに司の容姿が好き?」
 訊くつもりはなかったけど、少しいじめずにはいられなかった。
 しかし、彼女にそんなことが通じるわけがなく、
「……えと、すごく格好いいと思います。ど真ん中ストライクくらいには」
 と、赤面したまま俺の目を見て答えた。
「……ここにいるのもなんだから、ゲストルームへ行こう」
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