光のもとでⅠ
「……やっぱりおうちで仕事をするよりも、図書棟にいたほうがお仕事しやすいんですか?」
 君の思考回路はどうしてそういう方向に行くんだろう?
「いや、そうじゃなくて……。リィをかまいたいから、午後の仕事を少なくするために午前に詰め込んでるの」
 そうだよ……。君の側にいたいから。君の笑顔を見ていたいから。
 今日は出勤時間を早めて午前中に仕事の大半を片付けてきたんだ。
「でも、怒るっていっても怒鳴るような人じゃないでしょ?」
 若槻は本当に俺のことをよくわかっていると思う。
 さ、君はなんて答える?
「あの……あのね……。あの――」
 口を開くも、その先が言えないらしい。
 そりゃ、彼女には恥ずかしくて口にできないだろう。
 俺がいじめるよりも、こういう間接的ないじめのほうが彼女にダメージはあるのかもしれない。
「リィ、いいよ。どうせキス攻めにされたかなんかでしょ? リィが相手ならそれが関の山」
 さすが若槻だな。
 今、この部屋の中で君がどんな顔をしているのか見てみたいよ。きっと、真っ赤に顔を染めているんだろうね。
「翠葉……かわいそうなくらいに顔が真っ赤。それじゃ、はいって言ってるのと変わらない」
 蒼樹の呆れた声。
「はぁ……あの人、禁欲生活始めてどのくらいなんだろう?」
 ざっと四十日ですが何か……?
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