光のもとでⅠ
「深呼吸ってすごい……」
「そう、深呼吸って侮れないの。何ってね、脳には糖分と酸素は必要不可欠! ついでに血液もね、ってことで軽くストレッチ行きましょう! はい立ってっ!」
 私は唯兄に促されるまま立ち上がり、目の前で唯兄がする動作を真似した。
「お茶は入ったわよ……って、ふたりとも何をしているの?」
 お母さんが戻ってきたとき、私と唯兄は腕をぐんと天井に伸ばしたまま、身体の左側面を伸ばすように右に身体を傾けているところだった。
「「ストレッチ……?」」
 私と唯兄の声が重なると、お母さんは「ぷっ」と吹き出し笑った。
 良かった……お母さんが笑った。
 そんなことにほっとしていると、唯兄がウィンクをした。
「唯兄、ありがとう……」
「どういたしまして。さ、窓閉めてお仕事の話するよ!」
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