光のもとでⅠ
「……お母さん?」
「あぁ。碧には翠葉ちゃんよりももっと時間をかけて考える余裕があったんだが、悩んだ時間は五分くらいなものだった」
 静さんはおかしそうにくつくつと笑い、そのあとは穏やかな笑みを浮かべた。
「翠葉ちゃん、ありがとう。私はヒヨコどもに恨まれずに済みそうだ」
「俺も一安心です……」
 ボソリと聞こえた声に振り返ると、脱力してテーブルに突っ伏す唯兄がいた。
「リィ……そこのずるい人はね、リィが拒否したときには自分の知り合いが経営する高校にリィを転校させるつもりでいたし、その学校近くのマンションの空き物件も押さえてたんだよ」
「え……転校?」
「だってさ、学校が同じだったら関係なんて絶てないでしょ?」
 言われてみれば……。
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