光のもとでⅠ
「お時間があるようでしたら、一緒にお茶を飲んでいただけませんか?」
 朝のこの時間、忙しくないわけがない。
 わかってはいるけれど、木田さんがこの場からいなくなる気はしなかったし、私の食事が終わるまでずっと部屋の片隅で佇んでいる気がしたから……。
 それなら座ってお茶を飲んでほしかった。
 それが勤務中の人に勧めていいことかどうかは別として。
「……それでは失礼させていただきます」
 木田さんはカップをひとつ取り、私に淹れたものと同じお茶を注いだ。
「本日のご予定はお決まりですか?」
「……森へ出かけてもいいですか?」
「かまいませんが、外気温は一度ですよ?」
 一度……それはとても寒そうだ。
 きっと、昨夜は氷点下だったことだろう。
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