光のもとでⅠ
「碧さんが帰ってきてから話すほうが零樹さんも余計な不安を抱かなくて済むんじゃない?」
「そう、かな……」
 少し前までは知られることが怖くて隠していた。
 今、早く話してしまいたいと思うのは楽になりたいからかもしれない。
 人に話すという行為は、私の中で懺悔と関連づけられているのだろう。
 私は、楽になりたくて話しているに過ぎないのだ。

 玄関のドアを開けると、夕飯の香りと一緒に栞さんが出迎えてくれた。
 このあと、手洗いうがいと着替えを済ませればダイニングで夕飯になる。
 ご飯は楽しく美味しく食べたい。
 だから、話すのは食後にしよう。
 夕飯は純和風なメニューだった。
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