光のもとでⅠ
「うん。ほら、あまり食べられてないでしょう? フレンチトーストなら少量でもカロリーは取れるし、胃にも優しい気がするから」
「なるほど。じゃ、フレンチトーストにしますか!」
 唯兄と私はどっちがきれいに卵を割れるかを競いつつフレンチトーストを作った。
「ほい、仕上げ!」
「え?」
 唯兄がスパイスの小瓶を手に持っていた。
「シナモンさんです。これを一振りするだけでちょーっとだけ高級な感じがしない?」
 にこりと笑って三つのお皿すべてにシナモンを振り返ると、甘やかな湯気の立つフレンチトーストがスパイシーな香りでほんのりと引き締まった気がした。
 コーヒーを淹れに来た蒼兄が一瞬顔を引くつかせたけど、甘さ控え目であることを伝えると、目に見えてほっとした顔をした。
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