光のもとでⅠ

34

 駐車場から校舎までのなだらかな坂道をのんびりと歩いていた。
 その間、周りの風景や空、とあちこちに視線をめぐらせる。
 葉は色づきガードレールは白く、分厚い雲が覆う空は灰色。
 それらは私の目に鮮明に映る。
「大丈夫……。グレーフィルターがかかっていなければ、大丈夫」
 これは私の指針。
 目に映るものすべてに灰色のフィルターがかかって見えてしまったら、私はまたひとりになる。
 世界と自分が切り離され、色のない世界にひとりぼっちになってしまう。
 でも今は、まだ大丈夫。
 私は転がる石ひとつひとつの色を確認し、色が違うと感じられることに安堵しながら歩いた。
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