光のもとでⅠ
 蒼兄、会話できないよ……。何を話したらいいのかわからない……。
 秋斗さんとはどうして話せたんだろう……。
 話すことがあったから?
 それもあるかもしれない。
 でも、違う。
 あれは秋斗さんの心遣いだ。
 会話が完全に止まってしまわないように、秋斗さんが誘導してくれていた。
 だから会話が続いていたに過ぎない。
 今まで、ツカサと一緒にいるときに何か話さなくちゃ、と思うことはなかった。
 互いが無言でもあまり気にならなかった。
 でも、今は――。
 靴音しか鳴らないこの空気が凶器のように思える。
 一歩一歩歩くたびに身体を切り刻むような、そんな感じ。
 ツカサの足が角度を変えたとき、ふと自分の視線が上がる。
 すぐそこに庵があった。
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