光のもとでⅠ
 メガネを手に取るとき、池の水に左手を入れたらひどく冷たかった。
 その冷たさに息を呑む。
 この冷たい水の中にツカサはいる。
 なのに、私の背にはツカサのぬくもりが残る上着。
 息継ぎに上がってくるツカサを見るたびに後悔の念が強くなる。
 池に入ったのが自分ならこんな気持ちにはならなかっただろう。
 こうなってしまった今、自分がどういう行動に出たらいいのかわからなくて涙が止まらなくなる。
 気づいたら叫んでいた。
「ツカサっ、もういいからっっっ。もう、いいからっっっ」
 潜っているツカサに聞こえているかなんてわからない。
 でも、叫ぶ以外に何ができただろう。
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