光のもとでⅠ
「髪の毛、ちゃんと乾かさないとだめだよ?」
 振り返り様に言うと、いつもどおりのツカサがそこにいた。
 漆黒の髪は照明の下で艶々と光る。
 頭の曲線に沿ってきれいな光の輪ができ、毛先は束になることなくサラサラしているように見えた。
 つまり、濡れてはいない……?
「翠の髪を乾かすほど時間はかからない」
 言われて納得。
 髪が短いとこんなにも早く乾くものなのか、と少し驚いた。

 リビングにあるテーブルに着き、買ってきたものをビニール袋から出す。
「サンドイッチじゃなくておにぎりのほうが良かった? 昨夜、何たべたのかまでは考えてなかったの」
「いや、いい」
 ツカサはビニール袋から出てきたレシートに手を伸ばす。
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