光のもとでⅠ
 父さんも廊下で話を聞いていた口なのか、司に話しかけることはなく、話さなくていい、むしろ口を開くな的な何か……。
 この場では母さん以外が、皆ウィルス拡散回避に取り組んでいた。
 そんな昼を済ませると司は自室へ篭り、俺はそれをフォローするかのように母さんと世間話という名の司の話題に花を咲かせる。
 二時前になると父さんから鋭い視線が飛んできた。
 俺は母さんに気取られないよう廊下へ出る。と、しばらくして父さんも出てきた。
「司は発熱しているのか?」
「いや、熱もまだ測ってない。たぶん、今の状態で検査しても陰性としか出ないだろうね」
 きっとそんなことは司も承知済み。
 けどさ、薬を処方するにあたり診察や検査は必須なんだ。
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