光のもとでⅠ
 そして、八ヶ月前の四月――。
 学校の中庭で女の子がカメラを構えてしゃがみこんでいた。
 見るからに新入生。
 でも、中等部では見かけたことのない顔だったから、すぐに外部生だと思った。
 毎年写真部の入部希望者は少ない。
 俺は部員ゲットのために駆け寄った。
 彼女はスズランを撮るのに夢中で、後ろに俺が立っていることにまるで気づかない。
 液晶を見る分にアングルは悪くない。
 でも、カメラの使い方をまだ熟知していないのが丸わかり。
「それね、シャッタースピード優先にしてあげるとうまく撮れるよ」
 声をかけたのがことの始まり。
「きゃっ」
 彼女は肩を揺らすほどに驚いた。
 首からストラップをかけていなかったらカメラごとおとしていたかもしれない。
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