光のもとでⅠ
『若槻さん、時に強行突破が否めないこともあるのですよ』
 携帯から穏やかな笑い声が聞こえたままに通話は途切れた。
「超絶やられた感満載なんですけど……」
 そうだった、木田さんもオーナーの直下と言ってもいい人だった。
 直下もとい、懐刀――。
 全国にあるパレスの総支配人を束ねる人間だ。
「あああああああっっっ。何っ!? 俺、結局オーナーにしてやられたのっ!? 超悔しいんだけどっっっ」
 ことの顛末を秋斗さんに伝えると、「わかった」とだけ返信があった。
 今頃、きっと木田さんから碧さんに連絡がいっていることだろう。
 そして、その碧さんにはすでにオーナーから連絡が入っている可能性もある。
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