光のもとでⅠ
 が、秋兄がノートパソコンを立ち上げたところを見ると、無線機能か何かが追加されたものなのだろう。
「わしに盗聴させるとはいい度胸じゃの」
「そのくらいはしてくれるんでしょ」
 俺は間髪入れずに口にした。
 そのくらいしてもらわないとここまで来た意味がない。
 じーさんを睨みつけるとため息をつき、口元に笑みを浮かべた。
「ったく、どこまでもわしの孫たちじゃの。……いいじゃろう、引き受けよう」
 あんたの孫だからこうなんだよ、と言いたい衝動だけは抑える。
「もうひとつ頼まれてほしいんだけど」
 秋兄がさっきの俺と同じ口調で話す。
 つまり、頼まれてほしいとは言ったが、拒否という選択肢はないということ。
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