光のもとでⅠ
「そう」
「じゃ、迷惑ではあるわけだ」
「想像に任せる」
 じゃ、良かったことにさせてもらうよ。
 俺たちの応酬に彼女が困惑しているように見えたから、にこりと笑みを向けた。
 君になら、笑顔の押し売りでもなんでもするよ。
 俺は目の前にある藤棚の話をする。
「この藤棚の話、前にしたっけ?」
「え?」
「藤棚が五角形になっているでしょ?」
「あ、はい」
「これはさ、俺たちが生まれるたびにじーさんとばーさんが一本ずつ植樹してくれたんだ。で、最終的には五人で五本、五角形。一定の背丈で剪定してあるからもう高さの差はないけど、植えられたばかりの藤の木はとても小さくてかわいかったんだよ」
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