光のもとでⅠ
「秋斗さんにとって、とても愛着のある場所なんですね」
「そうだね、ここはあまりにも優しい場所だから」
 君に逢うまでそんなことは考えもしなかったけど。
 少しすると彼女に尋ねられる。
「秋斗さん、今日、お仕事は?」
「翠葉ちゃん、今日が何曜日かわかってる? 今日は日曜日だよ?」
「あ――そうでした」
 曜日感覚がずれていることですらかわいいと思えるのだから、病気だな、と思う。
 俺はこんな会話だってかまわないんだ。
 日常的な会話を顔を見て話せるだけでも幸せだと思う。
 会えない期間があったからこそ余計に……。
 今、この時間が大切なものだと知ることができた。
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