光のもとでⅠ
 残った俺と司は藤棚のベンチに座ったまま。
 こんなシチュエーション、少し前にもあったな。
 確か、翠葉ちゃんが白野へ行った日。
 そんなに遠くないけど、ひどく懐かしいと思える。
 彼女が記憶を取り戻してから、なんだかんだとあったからな……。
 ぼんやりと景色を目に映す司の隣に座り、
「司」
 司は周りを見回し、彼女がカメラに集中しているのを認めると、ひとつため息をついた。
「すごい仏頂面」
「うるさい」
「俺、帰ろうか?」
「気遣われるともっとむかつく」
 何か問えば間をおかずに一言ピシャリと返される。
 俺はそんあ会話も好きだったりする。
 彼女はこの容赦ない会話が苦手みたいだけど……。
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