光のもとでⅠ
「どうしろっていうんだ……」
 ――「もう一度よく考えて決めろ」
 それは俺が翠に放った言葉なのに、拒まれたとき、耐えられる気がしない。
 そんな選択は到底受け入れられそうにない。
 
 翠が来るまでそう時間はかからなかった。
 時間にして三十分ほど。
 体感時間では十分くらいなもの。
 玄関で先輩と話す声はどれも鮮明に聞こえた。
 ほかに音という音がないのだから、当然といえば当然のこと。
 でも、それとは別で、翠の声だけは聞き漏らさないように、と無条件に聴覚神経が働いているようにも思える。
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