光のもとでⅠ
「……あ」
 思わず自分の手を確認するように見てしまう。
「……大丈夫みたい?」
 あのあと、ずっと学校を休んでいたから、普段から普通に会話もできて側にいても大丈夫という人しか周りにはいなかったのだ。
 でも……大丈夫、だったよね?
 再度自分の手を見つつ、確認するようにサザナミくんに手を出した。
「……改めて、よろしく」
 こうやって自分から手を差し出したのは初めてかもしれない。
 サザナミくんはガラス細工を触るような手つきで私の手を取った。
「……よろしく。……なんか、やっと御園生さんに近づけたって感じがする」
「……ごめんね。私、男子とあまり話したことがなくて、慣れるまでに時間がかかるみたいなの。本当にごめんなさい」
「海斗から少し聞いた。あと、春日先輩からも。いいんじゃん? 少しずつ慣れていけば」
 そう言うと、ニカ、と体育会系の笑顔を作った。
「うん、ありがとう」
 五人に付き添われて集団のもとへ行くと、生徒会メンバーに声をかけてもらえた。
「待ってたよ」
 と、里実先輩。
 相変らず砂糖菓子のようにふわふわとしている。
 変わったことといえば、髪の毛をふたつに結っていることくらい。
 少し幼く見えるものの、それすらかわいと思う。
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