光のもとでⅠ
「……もしかしたら終業式が終わったあとに初等部に寄ってくるかも」
「「初等部?」」
 蒼兄と唯兄が声を揃えた。
「うん。動物を見に。ハムスターとかウサギとかニワトリ。なんか色々いるみたい。用務員さんにお願いしたら触らせてもらえるんだって」
 唯兄は不思議そうな顔をしたけれど、お母さんと蒼兄は納得したような顔だった。二人とも藤宮の性教育を知っているからだと思う。
「何? 藤宮の動物飼育ってなんかすごいのいるの? まさか虎がいるとかコアラがいるとか?」
「唯……さすがに虎とコアラはないだろ……。建物や設備はそれなりだけど、とくに珍しい動物を飼ってたりするわけじゃないよ。孔雀とかカメとか?」
 蒼兄の返答に、
「じゃぁ、なんでわざわざ見に行くの?」
「……命に触れに、かな?」
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