光のもとでⅠ
「翠葉、酔ったか?」
 蒼兄に声をかけられ、急速に流れゆく景色が目に飛び込んできた。
「……え、何?」
「リィ、ここのところずっとぼんやりしてるし話しかけても反応悪すぎ。聴力と返事に要する瞬発力、いったいどこに置いてきちゃったの?」
 後部座席に座っていた唯兄に指摘され、今がパレスへ向っている車内であることを思い出した。
 家を出るとき、高速道路で立ち寄るサービスエリアの申し合わせだけをして、親チームと子どもチームに分かれて出発したのだ。
「緊張してんの?」
 唯兄に訊かれて頷く。
「大丈夫だよ。俺も結婚式なんて参列したことないし。初心者はリィだけじゃないっ!」
 私はそれに愛想笑いを返す。
 初めて出席する結婚式にも緊張はしているけれど、それよりも、ツカサと秋斗さんに会うこと。ふたりのおじいさんに会うことに緊張していた。
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