光のもとでⅠ
 そして、再度生徒会メンバーを見ながら、
「加納に里見、司に美都。それに簾条がいるなら嫌でも案件通す気よねぇ……」
 と、少し面倒そうな顔をして後ろの先生たちを振り返った。
「学園長、彼女が御園生翠葉さんです。高等部校長はご存知のとおり、未履修分野の課題を異例の早さでパスした生徒であり、現在高等部の教師陣から早急に完備して欲しいと要請がきている、病院と連携をとっての通信教育制度を必要とするかもしれない生徒。藤宮病院の紫さんと湊の患者です」
 その紹介のされ方に戸惑いを感じつつ、目の前まで歩いてきた人を見る。
 学園長と呼ばれた人は恰幅のいい男の人だった。
「藤宮学園学園長の藤宮圭吾です。通信教育制度に関しては前向きに検討しているから、身体に無理がないようにがんばりなさい」
「ありがとうございます……」
 それ以外に答えられる言葉はなかった。
 けれども、心はなぜか晴れない。まるで自分が霧の中にいるみたいだ。
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