光のもとでⅠ
 静かに閉められたドアを見て思う。
 ……どうしよう。会うたびに、話すたびに好きになっちゃう。
 ただ勉強を教えてもらっただけなのに、ただ普通に接してもらっただけなのに。
 それだけなのに、すごく嬉しい。
 すごく嬉しくて、困る――。
 好きな人がいると嬉しいと思うことが増える反面、それと同じくらい困ることが増えてしまう。
「好き」の気持ちは下り坂を走る滑車のよう。どんなに緩やかな下り坂でも、滑車に積まれるものが増えるたびに速度が増す。
 このまま速度が上がったらブレーキが利かなくなってしまう。
 どうしたらいいのかな――。
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