光のもとでⅠ
「姫さんのに毒を混入してもスイハのには入れねえよ」
「どんな言い分よ。ったく……」
 そうは言うものの、湊先生はスープを一気に飲み干した。
「あんたの仕込む毒で殺されてやるもんですか」
「くっ、どこまでも女王様気質だな」
 言いたい放題の相馬先生に引けをとらない湊先生。そんなふたりのやり取りを見ていると心が和んだ。
 スープは飲みやすい温度に調整されていて、味も薄口でとても飲みやすかった。
 新たに点滴を刺されると、用意された車椅子に座るように指示された。
「先生……歩きたい」
「今は我慢なさい」
 そんなにひどい状態なのかと不安になったけれど、歩いて息が上がらないようにするためだと言われた。
「空港に着くまでにへばったらなんの意味もないでしょう」
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