光のもとでⅠ
 目から涙が零れ、お湯の中に落ちた。
 ポツン、ピチャン、ポツン――ザバッ。
 涙をごまかすため、お湯に顔を浸す。
 ――もっと嫌なのは、気持ちをきちんと伝えられないこと。このまま遠く離れてしまうこと。
 私は顔を上げ、ピシャリ、と自分の両頬を叩いた。ちょっと痛かった。
 でも、痛いくらいに叩かないと喝が入らない気がした。
「明日……。明日、会いに行こう」
 明日は病院もないし部活もない。授業間の休み時間に行くのは難しいから、帰りのホームルームが終わってから……。ツカサのクラスのほうが終わるのが早かったら部活が終わるのを待とう。
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