光のもとでⅠ
「秋斗くんが謝ることじゃないよ」
 言って、零樹さんが秋斗さんに頭を上げるよう促した。
 秋斗さんの携帯が鳴り、ヘリが到着したことが伝えられる。
 それを医務室に伝えると、すぐにリィの搬送をすると言われた。
「紫先生っ、娘はっ」
 碧さんが詰め寄ると、
「ここでは詳しい検査はできないのではっきりとしたことは言えません。ですが……心臓で血液の逆流が起きています。今回は、温存措置は難しいかもしれません」
 それは暗に手術が必要になるということ。
「ここでできることは限られています。今は病院への搬送を急ぎましょう。私と涼医師が付き添うので、ご家族は次のヘリで病院にいらしてください」
「わかりました」
 今にも崩れてしまいそうな碧さんを支えながら零樹さんが答えた。
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