光のもとでⅠ
 車に乗ると、じーさんに意外だと言われる。
「何が?」
「あっさりと引きおって」
「あぁ……今日はね」
「含みを持たせず話さんか」
 このじじー、自分のことは棚に上げて……。まぁ、いいけどさ。
「司が彼女の補習講師を買って出た。だから、自分もそれに便乗した。明日はそれを伝えるから、明日こそ困らせると思うって話」
「ふむ……。じゃが、あのお嬢さんはどちらも選べまい」
「だろうね。だから、いつまでその状況に耐えられるか……。いわば耐久合戦というか、持久戦というか……そんな感じかな?」
「時間は長くかけるでないぞ」
「そのつもり。また胃を悪くしたらかわいそうだし、何より涼さんが怖い。だから、期間限定だよ」
「勝率は?」
「もちろん勝つつもり」
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