光のもとでⅠ
「けど、いくらなんでも床から天井までの大きな窓は無理じゃない?」
 あぁ、と思う。
 あの部屋の窓は腰から上であって、腰より下は壁というつくりだ。
「窓はあの大きさでいいから、UVカットガラス使ってよ。それと、資料が多いから床から天井までの本棚が欲しい。これが自分の家ならベッドのあたりにシェルターとか完備させるのに」
 ……床から天井までの本棚? それは翠葉も喜ぶんじゃないだろうか。
 翠葉は具合が悪いときは写真集を見たり本を読んだりして過ごすことが多い。ゆえに、その分量は半端ない。
 備え付けの本棚にすれば部屋を狭めることもなく、また、倒れた際にぶつかる家具が減っていいのでは……?
 そうだ、家具は備え付けられるものはすべて備え付けてしまおう。
 ベッドからリビングまでは障害物が一切ない状態にして――。
 ベッド……あれ? 先輩、今なんて言った? ベッドのあたりにシェルターって……。
 それ、いいかもしれない。壁の強度も増すし……。
 そんなことを考えていると、少し楽しくなってきて自然と笑みが漏れる。
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