光のもとでⅠ
 かなり大きなものに見えたけれど、それが「何か」と想像できるほど観察する間はなく、私の視界に入らないところへ置くと、
「よし! まずはケーキだ!」
 箱から出したタルトはボックスの上に乗せられる。
 隠されると気になるけれど、私の目は真っ赤なホールタルトを捉えて放さなかった。
「零(れい)、ロウソク忘れてる」
 お母さんがお父さんに笑いかけると、
「おぉ、そうだった」
 お父さんはずぼんのポケットから数字のロウソクを四つ取り出した。
「1」と「6」は緑。「2」と「3」は水色。
 それをザクザクっとホールタルトの真ん中よりも少し上方に立てる。タルトの赤に二色のロウソクがとても映える。
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