光のもとでⅠ
 今の話のどこに笑いの種があったのかは不明。しかし、御園生さんはカップをテーブルに置き、
「限界っ」
 と腹を抱えて笑いだした。
「蒼樹、司は全然優しくないよ。女の子の気持ちのひとつやふたつ、三つや四つ。百や二百を受け止める許容もないよう人間だよ」
 うるさい。むしろ、そんな許容があってたまるか。
 一頻り笑い終えた御園生さんが、
「いや、優しいですよ」
 と、目を細める。
「どの気持ちにも応えられないから受け取らない。俺にはそう見えますから」
 御園生さんはわかってない。
 応えられないから受け取らないわけではなく、応えるつもりがないから受け取らない、の間違い。
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