もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
バスに乗ってからも、黒い空は凄い勢いで追い掛けてくる。


ゴツッ、ゴツッ、ゴツッ……。


大粒の雨も降りだし、窓ガラスを強く打ち付けている。


不快な音と異様な景色に怯える優衣。


(瑞希達が言ってた通り……。荒れ過ぎだよーっ)


家の近くのバス停に辿り着く頃には、雨はもう土砂降りになっていた。


瑞希に借りた赤い傘を開いて、家のドアまで一気に走る。


「ただいまーっ」


バスルームに直行し、乾いたタオルで髪や制服の滴(しずく)をサッと拭き取る。


そのまま2階に上がっていくと、サンルームの方から騒がしい音が聞こえてきた。


母親がドタバタと、急いで取り込んだ洗濯物と格闘している。


「あら、おかえり。傘なかったんじゃない?」


「瑞希に借りた」


「もーっ、いつも鞄に入れておきなさいって言ってるでしょ」


「だって、重いんだもん。それに……」


言い訳を考えながら、ベランダを叩きつける雨に目をやった。


土砂降りの雨はもう、全ての景色を消してしまうほどの豪雨となっている。


窓から見える白いバス停が、可哀想なくらいに痛々しい。


その時、


「あーーーっ!!」
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