銀棺の一角獣
銀の剣
「まったくこんな時に何をやっているんだか」


 くすくすと笑ったティレルは、彼に合流したアルティナを連れて再び歩き始める。


「あら、髪の毛くらいで喜んでもらえるのなら……別にかまわないでしょう?」


 妖精達が飛び回っている一角を通り抜け、ティレルは新たな森を再び奥へ奥へと進んでいく。


「……さて、ここだ」


 ティレルが足をとめたのは、美しい湖の畔だった。


「ここで、あなたの怪我を治すの?」

「いや……ここでお前にやってもらわなければならないことがある」


 アルティナは周囲を見回した。ティレルはアルティナにはかまわず、どんどん湖の中に入っていく。


「……ねえ、何をすればいいの?」


 彼はアルティナの言葉にはこたえなかった。そのまま膝のあたりまで水に入ったまま、静かにたたずんでいる。

 彼の口から、アルティナには理解できない祈りのような呪文のような言葉が流れてきた。
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