銀棺の一角獣
「……ここまで来たのに都に入れないなんて」


 アルティナは、都を眺めて歯噛みした。中ではキーランが彼の戦いをしていて、それを早く終わらせてあげなければならないのに。


「焦るな。日が暮れて暗くなったら行動を開始するのだから――ルドヴィク、すまんが黒っぽい布をその辺で調達してきてくれ」


 ルドヴィクは姿を消して、アルティナとティレルだけが残される。


「ティレル――、ルドヴィクに持たせた剣。あれにはどんな意味があるの?」

「あれは……ライオールについた魔を払うために必要だ。どうせ扱うのなら、お前より剣の扱いに長けている人間に持たせた方がいいだろうが。魔を払うのに必要なお前の身体に流れるライディーアの記憶と俺の血を剣に与えたことだしな」

「だから……ルドヴィクに?」


 何でもないことのようにティレルはうなずいた。
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