銀棺の一角獣
 ルドヴィクはアルティナに微笑みかけた。アルティナは、ルドヴィクの差し出した手に自分の手を重ねる。

 金と銀の一対は、常にこうして近くにあった。二人が愛し合っていることには、周囲の誰もが知っている。

 アルティナに結婚を勧める者はいるけれど――その相手はルドヴィク以外には考えられない。

 勧める者誰もが、早くルドヴィクを女王の夫に迎えよと言うのだけれど、アルティナは首を横に振り続けている。

 アルティナが王城の入り口に到着するのと同時に、見事な彫刻に飾られた馬車が到着した。

 百人の騎士に守られたその馬車に乗っていたのはキーランだった。

 彼も今はただの第三王子、という立場ではなくなっている。半年ほどの命と言われたライオールが亡くなって、すでに二年が経過している。
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