銀棺の一角獣
 十年後なら、エミーリアの妹を行かせるところなのだけれど、あいにく彼女は五歳なのでまだ親元から離すわけにはいかない。


「それじゃあ、ライディーアのお嬢様たちと踊ってこようかな。多少鼻の下が伸びても、ヘネットには内緒にしておいてくれるだろ?」


 アルティナを壁に残し、キーランは固まっている若い女性の一団の方へと大股に歩み寄っていく。


「ヘネットには内緒に、ですって……どうする?」

「内緒にして差し上げたらどうですか。ダンスに興じるくらい罪にはならないでしょう」


 アルティナにたずねられて、ルドヴィクの目元が柔らかくなった。

 アルティナは少し彼の方に身を寄せる。そうすると、彼が後ろに回した手をアルティナの方へ伸ばしてきた。
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