サファイヤアンドロイドの夢
ライラ
私は忙しい。
まるで3年前に戻ったように。
私の時間を費やす対象が、Mr.Dから男へと移っただけだ。

私は、男の為にスケジュールを組み、原稿を書き、空いている時間は、会議と各ポイントの責任者との折衝にあてる。
考えている時間などない。
男が、これからどうなっていくのか、などと。

当の男は、数々の集会を難なくこなし、久しぶりに時間が空いた今日は、ライラのリハビリに付き添いだ。私も、歩けるようになったと言うライラを見舞ってやる約束をさせられている。
だが、私は、何かと理由をつけては、ライラの見舞いを引き延ばそうとしていた。あの日、彼女は素直に謝ってくれたが、私はまだ彼女に会う勇気がない。あの激情をそのままぶつけた彼女の、危なっかしい歩き方を見るのは、とても辛い事のように思えて。
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