サファイヤアンドロイドの夢
「ったく、いつまで経っても来ないから、ライラを連れてきてやったぜ。」


男は少し、体を右に傾け、背中のライラを私に見せる。アデルは小さく悲鳴をあげて、ライラが男の背中から落ちないように支えようと二人に走り寄った。


「無茶をしてはいけません!申し訳ありません、ジェイル秘書官。私はお止めしたのですが、どうしてもとおっしゃられて……」


「アデルがダメだの一点張りでさー。あんまり急にたくさん歩かせちゃいけないって言うから……」


「だから背負ってもらったの。顔を見るのは久しぶりね、ジェイル。」


ライラが男の背中から顔をのぞかせる。私は辛うじて笑顔をつくる。
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