サファイヤアンドロイドの夢
私の目の前で堂々巡りの討論が続いている。
各地を回る集会も中盤を迎えた。集会自体は何の問題もなかったが、組織はこの3年の間で予想以上の問題を抱えていた。
今日も忙しい集会の合間を縫って本部まで会合の為に戻らなければならなかった。これが終わればまた、次の集会地に向かわなくてはならない。

会合の議題は、脱走の増加だった。

集会を行ったポイントごとに集計していたアンドロイドの数が、明らかに登録数よりも少なくなっていて判明した事だが、このアンドロイドの街から脱走をしている者が後を絶たないのだ。彼らがアンドロイドの安住の地を抜け出し、どこに行こうとしているのか私たちには分からなかった。
外は、見渡す限りの砂漠と、人間の街だ。


「Mr.D、ご意見を。」
< 225 / 395 >

この作品をシェア

pagetop