幻月幻夢
「え・・・?」


人の気配がしなかったのでこの村に人がいないと思っていた。


だが今目の前に痩せた男の子がいる。


「おねえちゃん…だれ?」


「私は…」


「こいつはこの国の王になる者だ。」


紫刹がそういうと男の子は、驚いた顔をした後目を輝かせた。


「おねえちゃん、王様なの。」


「その・・・」


「王様なら僕たちの村も助けてくれるよね?僕ね、お父さんと、お母さんが死んじゃって一人ぼっちで寂しくて心細くて怖かったんだ。」


男の子の言葉にドクンと胸がなった。


「親いないの?」


「うん、お母さんとかね僕にばかり食べ物を食べさせて食べなかったんだ。それで…」


今にも泣きそうになる男の子を私は抱きしめた。


「ごめんね。辛いこと思い出させちゃって…ごめんね。」





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