幻月幻夢
「お願い。国を・・・助け・・・て。」


「え?」


急に男の子の意識がなくなった。


「ちょっと!大丈夫!?」


「桜花様、失礼します。」


鳥勾は、男の子を抱きかかえると胸に耳をあてた。


「大丈夫です。生きています。ただ体は弱り切っていますね。」


「その子、城に連れて行って。」


私の言葉に紫刹は目を丸くした。


「何を言っている?そんなことしたら他の民たちも、城に押しかけてくるぞ。」


「そうならないように、これから国を安定させれば良いんでしょ?」


「は?」


「なってやるわよ。王に。」


泣いても喚いても元の世界に戻れないなら、今自分に出来ることをしたい。


こんな子供を増やしちゃいけない。


「私が幻影国の王になる!!」


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