天神学園高等部の奇怪な面々27
「お褒めの言葉、痛み入る。丹下殿は残念な結果になったと聞いたが、五所川原殿の主人の兄上は、流石文武両道のようだな」

夕城夫妻以外は呼び捨てで、旦那にも『スペシャルバカなど、名で呼ぶ必要すらない』と言われていたものの、奥方に『せめて敬称はつけなさい』と窘められた為、善は敬称のみは付けるようになっていた。

かたや、大好きな拓ちゃんを誉められたバイオリン妹。

嬉しい。

この上なく嬉しい。

大好きな二人のお兄ちゃんへの評価は、自分への評価も同じ事なのだ。

「善君、お前は実に見所あるなぁ」

五所川原のモフモフの手が、武士にしてはチビッこい善の頭を撫でる。

その事に、善は舞い上がる。

(ご、五所川原殿に…!…優雅で可憐な大人の女性の鑑、五所川原殿にまたも認められた…!)

善く~ん、認めたのは五所川原の中の人ですよぉ~。

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