百鬼夜行の主


『所詮、この程度の妖怪か…』

轟ッという音が鳴る。

私の背後から、聞こえる。

鬼灯を静かに抱きしめる。まだ微かだが、息はある。

大丈夫…ワタシガ…マモッテアゲルカラ…

『…死ね』

再び、轟ッと言う音が聞こえる。次第に大きくなるその音は、私の灯を消そうとしていた。

ダイジョウブ…ホオズキダケハ…ゼッタイマモルカラ…

刹那、

「主様!!」

冷たい、氷のような声が響いた―雪羅だ。

『…クッ…』

何かが凍り始める音が背後から聞こえた。

『…とんだ邪魔が入ったな』

突風が、巻き起こる。

…生きてるんだ…私は…


瞬間、視界が暗くなる。

霞がかかったように、視界がぼやけ私は黒に引きずり込まれる。

「主様!しっかりなさってください!主様」

雪羅の声が遠くなる。私の意識は、とんだ。


< 105 / 157 >

この作品をシェア

pagetop