KISS
夏の陽射しは朝からじりじりと照り付ける。


お盆前ということもあり、とりあえず課外は休みに入った。


「あつ…っ」


うっかり忘れかけていたこと。


多分、お盆は親族の方が来られるだろうから…。


持ってきた彼岸花を添え、ゆっくり腰を下ろす。


「忙しさにかまけて、会いに来なくてごめんなさい」


墓石に刻まれた文字は【雪宮家の墓】。


「静さん」


巧のお母さんのお墓一…


「最後に来たの、高校入る前だったかな」


目をつぶると、今もかすかに思い出す。


静さんの笑顔。


『えみちゃん』


そう言ってあたしを抱きしめる優しい手。


静さんが亡くなって、もう4年の月日が流れていた。
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