『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ


小刻みに震える握り拳をベッドへ向けて


――――――――ボスッ。


あぁ~~~あぁ~~~ぁぁぁあ―――!!

もう、俺、どうしたらいいんだ?


無意識に手で髪を掻き乱していると、


「どうかしたんですか!?」


突然、目の前に彼女が現れた。


「あっ、いや…何でもない。ちょっと解けない問題があって…」


咄嗟に適当に言葉を見繕って話を逸らす。

彼女に気付かれないように…

姉貴からの依頼書は机の引き出しにしまった。



フゥ~~、マジでびっくりしたぁ~。

依頼書にムカついて、

彼女の気配に全然気が付かなかった。


ヤバい……ヤバい……。

危うくバレるところだったよ……。



………そう。

依頼書の5枚目には、


『今回の依頼は同伴者である金澤 葵にバレる事なく、無事、自宅に戻る事』


『成功した暁には、報酬は通常の10倍とする』



出来るか、出来ないか…分からないが、

“報酬10倍”に目が眩み、

俺は姉貴の依頼を実行する事になった。


< 127 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop