レベッカ
「ねぇ、言わせてよ」
「や、やだ」
「俺が言いたいんだけど」
「やだ、いい」
「ねぇ」
ロイとフェンスに挟まれて、肩を強張らせたのがわかる。
慌ててすり抜けようとするアレンの腕を、掴んだ。
顔を覗き込む。
「アレン、好きだよ。ずっと前から」
泣きそうなほど狼狽えた大きな目が、一度ぎゅうと閉じられて、ぱっと開いた。
言葉を選ぶように、口が開く。
「れ」で声が途切れて、目で続きを促す。
「レベッカが、また私だけ仲間はずれって、拗ねるから」
「……から?」
なにを言うつもりなのか想像もつかなくて、今度は口に出して聞き返す。
「から……、あたしの一番は、レベッカだから!」
頬が緩んでいる自覚があった。
なんとか拗ねた表情を作るが、目が笑うのだけはなんともならなかった。
顎に手をかける。
顔が近付く。
「なにそれ。妬ける」
アレンが、また困ったような顔をして、それから、目を閉じる。
不意打ちでもなく、拒まれることもなく、今度こそ、唇が触れた。