レベッカ




「やっぱりよく知らない隊と合同で出したのがマズかったな……構成メンバー、把握しておく。俺もできるだけ別行動は避けるから」
「そこまで心配しなくても、もうあんなヘマしねーよ」
「あんたはよくても、次誰が狙われるかわかんないでしょ」
「まぁ……そうか」


アレンはエド派の筆頭だと、きっと誰もが思っているだろう。

女だてらに一隊を任される彼女をよく思わない者は少なからずいて、そんな隊員たちがよくアレンを揶揄する言葉が、『エドの忠犬』。
アレンがエドと話す時に惜し気もなく向ける憧憬と敬愛の目が、飼い主に誉められるのを待って尻尾を振る犬のようだと言うのだ。


正直、ロイはそれを、言い得て妙だと思っていた。

正当な仕方でレベッカの仇を討ち、生きる方法を知らなかった二人を拾ってくれたエドを、アレンは確かに誰よりも慕っている。

そしてその絶対の信頼が、ある特定の感情に発展することもあるのだと、ロイは知っていた。

つまり、アレンがエドに向ける視線は、ただの憧れだけではないのだと。




< 91 / 226 >

この作品をシェア

pagetop