相手にされない王子様
「で、でも……私は神楽君と……」
俺は人差し指を唇に当てた。
それ以上は何も言うなという意味で。だってもう聞きたくない。
「悪いけど、俺はもう誰とも付き合わないことにしたから。
……時期が悪かったな。んじゃ、バイバイ」
俺は向きを変え、歩こうとした。
しかし、
「………最初はそれでも良いから…付き合ってもらえませんか?」
服の袖を掴まれてしまった。
俺は彼女の手を払い、笑顔で返した。
「ごめん、そう言う女、沢山居たから」
そんなこと言われたの、初めてじゃないんだ。