アカイトリ
小さなろうそくの炎だけがゆらゆらとふたりの影を生み出す。
「そうかな。逆に俺が人間だったならば、話がこんなにこじれることはなかったが」
何度も何度も唇を重ねてくる天花に、颯太も何度もそれに応える。
「禁忌なんだ。これはいけないことなんだ。だが何故こんなに引き合ってしまうのだろう…?
神よ――
俺たちが、一体何をした?
姿も現そうとしないお前に、何をした…?!
「天花、お前の発情が終わるまではここに二人だ。心配ない、大丈夫だ」
「お前が一緒に居てくれれば問題、ない…」
ぎゅっと強く瞳を閉じて、必死に己と戦っているのが見受けられ、颯太はただ強く天花を抱きしめる。
「お前に抱かれていると、少しは楽だ…」
「それはよかった。このままお前に襲われるのではないかと俺は内心冷や冷やしているぞ」
発情という、動物にしか起こらない病魔と似たものは天花の意識を食い散らす。
だからまた何度も颯太の身体に触れては離す、を繰り返していた。
「このまま流れに身を任せてしまえばわたしたちは、ひとつになることができるだろうか…?」
――それは悪魔の甘い誘惑。
颯太も考え、天花も考えた。
「いや…天花、お前が真実俺を求め、また神の呪いに打ち勝つことができるまではこのままでいよう」
颯太の首筋を天花の舌が這う。
息もとにかく荒い。
だが、瞳は涙に濡れていた。
「自分が…自分がこんなにも弱いとは、気付かなかった…」
ずっと独りだったから、『さびしい』と感じることも…
ましてや『愛しい』と感じることもなかった。
――身体が疼く。
こんなことははじめてで、それはとても甘く、誘惑に満ちている。
目の前の颯太はただ、天花の朱い髪を撫で、背を撫でてくれていた。
「天花、戦うんだ。弱い部分は俺が補ってやる。共に戦おう」
理性とも。
欲望とも。
そして、神とも――
「そうかな。逆に俺が人間だったならば、話がこんなにこじれることはなかったが」
何度も何度も唇を重ねてくる天花に、颯太も何度もそれに応える。
「禁忌なんだ。これはいけないことなんだ。だが何故こんなに引き合ってしまうのだろう…?
神よ――
俺たちが、一体何をした?
姿も現そうとしないお前に、何をした…?!
「天花、お前の発情が終わるまではここに二人だ。心配ない、大丈夫だ」
「お前が一緒に居てくれれば問題、ない…」
ぎゅっと強く瞳を閉じて、必死に己と戦っているのが見受けられ、颯太はただ強く天花を抱きしめる。
「お前に抱かれていると、少しは楽だ…」
「それはよかった。このままお前に襲われるのではないかと俺は内心冷や冷やしているぞ」
発情という、動物にしか起こらない病魔と似たものは天花の意識を食い散らす。
だからまた何度も颯太の身体に触れては離す、を繰り返していた。
「このまま流れに身を任せてしまえばわたしたちは、ひとつになることができるだろうか…?」
――それは悪魔の甘い誘惑。
颯太も考え、天花も考えた。
「いや…天花、お前が真実俺を求め、また神の呪いに打ち勝つことができるまではこのままでいよう」
颯太の首筋を天花の舌が這う。
息もとにかく荒い。
だが、瞳は涙に濡れていた。
「自分が…自分がこんなにも弱いとは、気付かなかった…」
ずっと独りだったから、『さびしい』と感じることも…
ましてや『愛しい』と感じることもなかった。
――身体が疼く。
こんなことははじめてで、それはとても甘く、誘惑に満ちている。
目の前の颯太はただ、天花の朱い髪を撫で、背を撫でてくれていた。
「天花、戦うんだ。弱い部分は俺が補ってやる。共に戦おう」
理性とも。
欲望とも。
そして、神とも――